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読書記録など。

2011-01-01から1年間の記事一覧

「身もフタもない日本文学史」「数字のウソを見破る」「ドゥルーズ入門」 書評

「身もフタもない日本文学史」「数字のウソを見破る」「ドゥルーズ入門」読了後の感想。 清水義範「身もフタもない日本文学史」は、清水氏のおもしろ日本文学話。 清水氏の著作は実は小説の方は読んだことがないが、それ以外の著作はいくつか読んでいて、概…

「こんにゃくの中の日本史」「テレビ進化論」「アナロジーの罠 フランス現代思想批判」 書評

「こんにゃくの中の日本史」「テレビ進化論」「アナロジーの罠 フランス現代思想批判」読了後の感想。 武内孝雄「こんにゃくの中の日本史」は、こんにゃくに妙にこだわった一冊。講談社現代新書で、この何を語るんだといった狭いテーマのタイトル。思わずつ…

「リアルのゆくえ」「神道の虚像と実像」「感染症と文明 共生への道」

「リアルのゆくえ」「神道の虚像と実像」「感染症と文明 共生への道」読了後の感想。 大塚英志、東浩紀「 リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか」は、サブカルチャー批評家として影響力トップクラスの二人の対談本。ただ、両者ともそれほど高く共感…

「誰がテレビをつまらなくしたのか」「メディア社会 現代を読み解く視点」「戦争報道」 書評

「誰がテレビをつまらなくしたのか」「メディア社会 現代を読み解く視点」「戦争報道」 読了後の感想。 立本幸治「誰がテレビをつまらなくしたのか」は、テレビ批判と提言の書。著者は元NHKチーフプロデューサー。書名からするとテレビの面白さへの批評にも…

「貝と羊の中国人」 「現代アート入門の入門」「はじめての言語ゲーム」書評

「貝と羊の中国人」 「現代アート入門の入門」「はじめての言語ゲーム」読了後の感想。 加藤徹「貝と羊の中国人」は、批判と擁護のバランスのとれた中国文化論。貝=貨幣と羊=遊牧民としての中国人の思想。日本との言語比較、人口変動の比較、テリトリーの…

「世の中がわかる「○○主義」の基礎知識」「デカルト入門」 「新聞消滅大国アメリカ」 書評

「世の中がわかる「○○主義」の基礎知識」「論争 若者論」 「デカルト入門」「新聞消滅大国アメリカ」 読了後の感想。 吉岡 友治「世の中がわかる「○○主義」の基礎知識」は、よく目にするような様々な思想上の○○主義の意味を簡単に説明した本。 確かに、大量…

「思考停止社会」「現代思想の冒険者たち デリダ 脱構築」「疑う技術」 書評

「思考停止社会」「現代思想の冒険者たち デリダ 脱構築」「疑う技術」読了後の感想。 郷原信郎「思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本」は、コンプライアンスが日本を滅ぼすとした本。 マスコミに「法律違反」「偽装」「隠蔽」「改竄」「捏造」というレッテ…

「神社の系譜」「日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか」「考えあう技術 教育と社会を哲学する」 書評

「神社の系譜」「日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか」「考えあう技術 教育と社会を哲学する」読了後の感想。 宮本健次「神社の系譜」については、この本の要点である、神社と自然暦との関係についてはわかった。 ようは、重要神社の夏至、冬至、秋分・春…

「読む哲学事典」「読書進化論」「現代中国の禁書」 書評

「読む哲学事典」「読書進化論」「現代中国の禁書」読了後の感想。 田島正樹「読む哲学事典」は、反実在論的な、様々な哲学的テーマについて概説した事典。ややわかりづらいところもあるが、概ね分かりやすく、哲学の様々なテーマに触れられる。ただ、全く予…

「日本のルールは間違いだらけ」 「世界を動かす人脈」 「ジャーナリズムとしてのパパラッチ」 書評

「日本のルールは間違いだらけ」 「世界を動かす人脈」 「ジャーナリズムとしてのパパラッチ」読了後の感想。 たくきよしみつ「日本のルールは間違いだらけ」は、日本のおかしい仕組みなどを綴ったエッセイ的な本。ローマ字の不合理、幽霊字の存在、狭軌であ…

「今こそアーレントを読み直す」「私は花火師です」「評論家入門」 書評

「今こそアーレントを読み直す」「私は花火師です」「評論家入門」読了後の感想。 仲正昌樹「今こそアーレントを読み直す」は、分かりやすいハンナ・アーレントの解説書。仲正昌樹氏は、割りと売れっ子の評論家かと思うが、多作ゆえにちょっと雑じゃないかと…

「ポストコロニアリズム」 「新書がベスト」 「動物化する世界の中で」 書評

「ポストコロニアリズム」 「新書がベスト」 「動物化する世界の中で」 読了後の感想。 本橋哲也「ポストコロニアリズム」は、延々と、先進国の植民地政策によって植民地の方々はこれだけの被害を受けたんだぞ、反省しろよと怒られているような本だった。 ポ…

「自我の哲学史」「愛国者は信用できるか」「超解読 ヘーゲル精神現象学」 書評

「自我の哲学史」「愛国者は信用できるか」「超解読 ヘーゲル精神現象学」についての読了後の感想。 酒井 潔「自我の哲学史」は、自我という概念は西洋で生まれたものであり、日本にこの自我概念は適用できないという主張をしていたことは覚えているが、それ…

「データの罠」 「子どもが減って何が悪いか!」 「UFOとポストモダン」 書評 

「データの罠」 「子どもが減って何が悪いか!」 「UFOとポストモダン」読了後の感想。 田村秀(しげる)「データの罠 世論はこうしてつくられる」は、データの読み解き方のついての本。特に、統計データはかなり意図的にデータを作り出すことが出来るので、注…

根井雅弘「経済学のことば」 書評

根井雅弘「経済学のことば」読了後の感想。 一人の経済学者あたり数ページで、歴史的に昔の学者からそれぞれの主張の一部を紹介し、解説を行う形式の本。 非常に多くの経済学者を扱っていて、読み応えがある。簡単な経済史を勉強できたように思う。経済素人…

アルチュセール全哲学 今村仁司著 書評

アルチュセール全哲学、今村仁司著、読了後の感想。 マルクス主義哲学者アルチュセールの哲学を解説した本。内容は半分くらいしか分からなかったが、潜在的な「問いの構造」とそれを見抜く「徴候的読解」や「イデオロギー装置」など、独特の用語の意味がなん…

トクヴィル 現代へのまなざし 書評

「トクヴィル 現代へのまなざし」富永 茂樹著、読了後の感想。 保守主義と民主主義の中間ほどの立ち位置で考察するアレクシス・ド・トクヴィル。平等思想は他者への羨望を生み、階級社会と違い上に上がれるという希望がある分、永遠に自分の実力の不足に絶望…

ジャーナリズムの可能性 書評

「ジャーナリズムの可能性(原寿雄)」読了後の感想。 理想主義的、反政府的ジャーナリズムのあり方を延々と語る。基本的に過去の著書である「ジャーナリズムの思想」から内容は変わらず。最近の事件も取り入れてるが、それだけで、ネット時代の犯罪等への考…

ラカン (ちくま学芸文庫) 書評

ラカン (ちくま学芸文庫)、フィリップ ヒル著、読了後の感想。 イラストをふんだんに使いながら、精神分析家ジャック・ラカンの思想をたどる、面白い本。精神分析学ほど怪しい学問はないと思っているし、ラカンの思想は難解で有名だが、この本はイラスト含め…

早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術- 書評

「早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術-ちくま新書-清水義範」読了後の感想。清水義範というパスティーシュ小説家の新書。 世界の文学それぞれへの解説は興味深いものが多く、引きこまれた。作者のパスティーシュに関する見解も面白かったが、作者の人…

知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 書評

知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)、高橋 昌一郎著、読了後の感想。 前回の理性の限界に続き、様々な学者などの立場からのディベ-ト形式となっていて、全体的に読んでいて楽しい書籍になっているのは間違いない。 パスカルの、神…

ジャーナリズムの思想 書評

「ジャーナリズムの思想 原寿雄著」読了後の感想。様々なマスコミの問題点を取り上げ、批判しているので参考になるが、権力者に阿らないという主張が、しばしば権力者の意見には逆らわなくてはいけないという強迫観念に達しているのが気になる。マスコミは権…

50年前の憲法大論争 書評

50年前の憲法大論争 (講談社現代新書): 保阪 正康著、読了後の感想。 50年前の議論であるが、内容としては今と殆ど変わらない改憲論争が楽しめる。このテーマの議論の本質は全く変化してないようだ。政治家と法律学者が議論するような形式で、政治家はなん…

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 書評

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性、高橋 昌一郎著、読了後の感想。 タイトルの印象では理性主義批判、科学主義批判的な内容かと思ったが、主に学問研究により解明された、合理的な結論が不可能な議論等の紹介が主な内容。例として、平等な投票が不…