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「ポストコロニアリズム」 「新書がベスト」 「動物化する世界の中で」 書評

「ポストコロニアリズム」 「新書がベスト」 「動物化する世界の中で」 読了後の感想。

本橋哲也「ポストコロニアリズム」は、延々と、先進国の植民地政策によって植民地の方々はこれだけの被害を受けたんだぞ、反省しろよと怒られているような本だった。

ポストコロニアリズムは、やや否定的な意味で、ポスコロと省略して呼ばれる思想である。思わず「ポスコロ」と呼びたくなるほど、実に読んでいて気が滅入る。確かに、植民地被害にあった国は多大な影響を受けたのは間違いないが、悪いことばかりだったのだろうか?と逆に穿ってしまいたくなる。

ひとまず、ポスコロの代表者として、フランツ・ファノンエドワード・サイード、ガヤトリ・スピヴァクの3名の名前を記しておくことにする。

小飼弾「新書がベスト」は、新書の良さと、おすすめ新書を紹介した本。読むともっと読書がしたくなる本である。だが、この本の目玉は、新書レーベルめった斬りの章だろう。あまり知らなかった新書レーベルも含めて、多くの新書レーベルの特徴とおすすめ本がわかる。

また、著者は飛ばし読みを奨めている。私は飛ばし読みに抵抗があるのだが、確かに読む必要のない箇所、どうせ読んでも殆ど記憶に残っていない上に特に面白くもない箇所については実践すべきだと思える。ざっと読みする技術も身につけたいものだ。 

東浩紀笠井潔動物化する世界の中で ―全共闘以後の日本、ポストモダン以降の批評」は、二人の往復書簡による本。

正直言って、東の「動ポス」論にいまいち納得がいっていないので、最初の方のやりとりはあまり面白くなかった。そもそもの議論が60年代はこう、80年代はこうという根拠の怪しい年代別時代論といった感じで、胡散臭い議論に見えてしまう。

しかし、中盤以後の、互いに口論になってからは刺激的。なあなあの対談よりは、実りある議論の方が、お互いの主張の欠点も見えて、読んでいてためになるし面白いものだ。ただ、買って読むほどの本かは疑問であった。

それにしても、アマゾンレビューを見ると笠井氏に問題があったと取る人が多いようだったが、私は読んでいてそうは感じなかった。客観的に見てどうなのかはわからないが、この本の読者は東ファンが多かったのが理由の一つであるように見えた。