読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

文章生成ファクトリー

読書記録など。

フジテレビ番組「池上彰 緊急スペシャル」捏造事件に残された問題

フジテレビが2015年6月5日に放送した、「池上彰 緊急スペシャル!知っているようで知らない韓国のナゾ」において、インタビューで韓国人が回答している内容と、テロップの内容が全く異なり、捏造されていると大きく話題になっている。

この騒動はネット上での韓国語が分かるユーザーによる指摘が相次いだことで発覚した。

そして、本日6/29にフジテレビによる謝罪文が掲載された。

お詫び
6月5日に放送した金曜プレミアム「池上彰 緊急スペシャル!」において、韓国の方に日本についてインタビューしているVTRで、2カ所合わせて約10秒、翻訳テロップ並びに日本語吹き替えナレーションの内容と異なる映像を、誤って使用していたことが分かりました。

(1)女性がインタビューに答えるシーン
「嫌いですよ、だって韓国を苦しめたじゃないですか」と、答えている部分で、誤って、韓国を好きな理由について話している、「文化がたくさんあります。だから、外国の人がたくさん訪問してくれているようです」という映像部分を使用していました。この女性は、インタビューの別の部分で、実際に「日本が嫌いです」と答えています。
(2)男性がインタビューに答えるシーン
「日本人にはいい人もいますが、国として嫌いです」と、答えている部分で、誤って、「過去の歴史を反省せず、そういう部分が私はちょっと…」と話している映像部分を使用していました。この男性も、別の部分で実際にこのように発言しています。

いずれも、編集作業でのミスに加えて、最終チェックが不十分であったため、誤った映像を放送してしまいました。
視聴者の皆様、インタビューにご協力いただいた方々、並びに関係者の皆様にお詫び申し上げます。今後はこのようなことがないよう再発防止に努めてまいります。

この謝罪文において、フジテレビは、

「テロップは捏造ではなく、実際に回答があったが、誤って別の回答を行っているシーンを放送した」

「編集作業でのミスに加えて、最終チェックが不十分であったため、誤った映像を放送した」

と弁明している。

しかし、この謝罪に対しては、

「本当に言ったのか。該当の映像が無いと信用できない」

という批判が多く挙がっている。私も同意見だ。

ただ、先のことは分からないが、結局動画の公開は無いままに話が終わってしまうのではないかと懸念している。

 

大手報道も、現段階ではフジテレビの言い分をそのまま流しているのみで、この問題が追求されるかは不透明だ。

 

本当に該当のセリフを含んだ動画が存在しているのかはまだ確定はできないが、動画の存在があったとしても残される問題はいくつもある。

 

映像とテロップによる演出効果

特に問題視された、女子高生に対するインタビューにおいては、「文化がたくさんあります。だから、外国の人がたくさん訪問してくれているようです」と回答している箇所において、「嫌いですよ、だって韓国を苦しめたじゃないですか」というテロップを表示した。

フジテレビによると、内容はあくまで「韓国を好きな理由」について聞かれた際の回答であって、日本に対するコメントではないとしている。

しかし、もしそうであったとしても、この映像の女子高生は笑顔で回答しており、自国を誇る際の笑顔が、「嘲笑」としての笑顔にすり替わっている。

これはただの「訳の誤り」で済む問題だろうか?

 

微妙な問題に対する無関心

韓国は、反日思想が根強いとよく言われる。

これ自体はある程度事実なのは間違いなさそうだ。

各種調査でも、韓国の日本への評判は悪い。

(同様に、日本の韓国への評判は悪い)

しかし、番組がこの韓国の反日問題を扱うならば、国への偏見を助長することが無いように細心の注意を払って番組作成をするのが当然だと思う。

しかし、フジテレビはこの番組を放送してしまった。

番組作成自体は下請け会社がするにしても、最終チェックは当然フジテレビで行っているはずだし、しかもゴールデンタイムの番組なのだから関わっている人数はかなりの数に及ぶはずだ。

にも関わらず、誰もまともにインタビューのシーンをチェックせずに放送まで進んでしまうこと自体が異常だ。

しかも、生放送ならまだしも録画番組(あるいは録画映像)においてのミスは考えられない。

韓国語が分かる人を一人チェックに使っていればまず防げた問題だろう。

微妙な問題を扱っているという自覚が全くなかったのだろうか。

 

放送後も気付かず放置

こちらの方がより悪質かもしれない。

この問題についてフジテレビは、

いずれも、編集作業でのミスに加えて、最終チェックが不十分であったため、誤った映像を放送してしまいました。

 としているが、「誤った映像を放送」しただけではない。

「そのまま24日間も問題視せずに放置した」のだ。

放送があった6/5から、6/29に謝罪するまで、問題についてなんのアクションも起こしていない。

しかも、アクションを起こしたのはネット上で批判が噴出したからであって、決してフジテレビ側で問題に気がついたわけではない。

 つまり、フジテレビは番組の事後チェックもまともに行っていないということだ。

 

「吹き替え」により完全となる捏造・誤報

放送しっぱなしで、放送後には一度も外国語テロップが正しいかのチェックをしない。

これでは、フランス語、ドイツ語、イタリア語等テロップはもちろん、英語の翻訳テロップですら全く信用できない。

今回の事件は、かすかに元の発言が聞こえたから発覚したものの、完全に日本語で吹き替えられ、元の発言が聞こえない形式の番組においては、捏造・誤報がバレることはほぼありえない。

なんせ、番組スタッフは放送前、放送後と翻訳をまともにチェックせず、吹き替えにより視聴者は正しさを確認できない。

内部告発でも無い限り、バレる恐れは皆無だ。

 

日常的に行われる「嘘テロップ」

手元に無いのでやや不正確になってしまうが、『日本人のためのアフリカ入門』という本において、人気を博した「あいのり」という番組の嘘が暴かれていた。アフリカの国を特集した回では、事実を多く捻じ曲げた内容となっており、現地の人々のセリフも多く改変されていたという話が書かれていた。

著者の白戸圭一は、これは「アフリカは貧しく未開で、部族対立が激しい」といった一般的な先入観に合致した番組作りが視聴率を稼げるという考えを元に作成されたからではないかと語っていた。

今回の番組に限らず、「番組の趣旨に合致したテロップを流すこと」を至上命題にして番組作成されることは多々あるのだろう。

 

番組スタッフが確認できないなら、せめて・・・

今回の問題が発覚したのは、ひとえに元の音声が残っていたことだが、これはフジテレビの良心というわけではあるまい。

しかし、今回のような事件が当たり前のように起きるとしたら、日本語完全吹き替えによる完全犯罪を防ぐためにも、せめて(今回のように)元の音声を残しておいて欲しい。それを、最低限の番組の矜持として欲しい。

 

動画が提出されなければ、もっと深刻な問題が多く挙げられるだろうが、仮に動画があったとしても以上の問題があるため、このまま収束すべきではないと思う。

以上。