被害規模をつかむための、数字と事例で見る「唐澤貴洋」弁護士
唐澤貴洋弁護士にまつわる問題については色々語られているが、以下の記事が話題になっていたので情報を補足したい。
この記事を読めば被害の概要はわかると思うが、被害規模については少々わかりづらい。
この弁護士にまつわる事件が長く続いている理由を、数字と事例でまとめた。
被害は2012年3月頃から
事件の舞台は2chの「なんでも実況J」、通称「なんJ」という板となる。
3年間にわたる煽りレスや自分語りなどでなんJ民に嫌われていた、コテハン「八神太一」の個人情報が特定され、このコテハンを叩くレスが大量につけられることになる。
2012年3月、この「八神太一」は誹謗中傷を止めるために、弁護士を雇うことになる。そこで白羽の矢が立ったのが弁護士の唐澤貴洋氏である。
これが悲劇の始まりとなる。
2chの性質としてコテハンは嫌われやすく、その中でも叩かれる要素を多く持っていた「八神太一」はある種必然的にバッシングされてきた。
そして、これは実態として2chでは非常によくあることである。
それの良し悪しは別として、「死ね」は挨拶と呼ばれるくらい、罵倒の言葉であふれているのが2chの特徴だ。
そんな2chでの日常風景であるコテハン叩き(すでに個人情報が割れているので実態は個人攻撃だが)に興じた22人のIP開示が行われた。
これがなんJ民の怒りを買ったのは、ある種必然ではあった。
自分たちの遊び場に、自分たちが普段から行っていることの延長に対し、IP開示という攻撃を仕掛けてきた弁護士は、最初からなんJ民にとっては敵でしかなかった。
とはいえ、最初は唐澤弁護士への誹謗中傷は控えめであった。
逮捕されるのが怖かったからだろう。しかし、IP開示は行われても、そこからの裁判沙汰に発展しなかったことから、なんJ民は徐々に誹謗中傷・殺害予告のチキンレースを始めることになる。
以下に、2012年の唐澤弁護士となんJ民をめぐる騒動をまとめた(誹謗中傷を含む)まとめ記事がある。
これを見ると、いかになんJ民がこの弁護士に執着しているかが分かるだろう。2013年以降も騒動が収まっていないことも、この記事からリンクされている他の年の一覧を見ることでわかる。
まとめwiki 記事数432
上記の「唐澤貴洋Wiki」では現在、432の記事が作成されている。
数を増やすための記事が多数あるとしても、この記事数は参加者の異常な執念が無ければ不可能な数字だろう。
なんせ、有名人でもなんでもない、一般の弁護士に関するテーマだけでこれだけの数なのだ。
異常さはこれでもよくわかる。
殺害予告・誹謗中傷95万件以上
これは、2014年5月の毎日新聞記事などに記載されている数字である。
「明日、唐沢弁護士をナイフでメッタ刺しにして殺す」と書き込んだ男が逮捕されたことを報じた記事において記載された件数だ。
弁護士はインターネット上で名誉毀損(きそん)を受けた人の被害回復に取り組んでおり、2012年3月、2ちゃんねるに違法性がある書き込みをした人のIPアドレスを開示請求したところ、サイト管理者に自身の名前や肩書を公表された。以降、殺害予告や中傷の書き込みが約95万件確認された。
http://megalodon.jp/2014-0508-1330-50/mainichi.jp/select/news/20140508k0000e040237000c.html
2012年3月以降、約2年で95万件。
上記記事から1年が経った今、単純計算で150万件以上の誹謗中傷が行われていることになる。同一人物や、コピペも多いだろうが、それでも凄まじい数だ。
真偽は不明だが、現在日本で最も誹謗中傷にあっている人物であるという意見もある。
家系図まで辿られる
以下、真偽不明ながらwikiより。この件の闇の深さを感じる記事だ。
恐ろしいのが、この記事についてはただの誹謗中傷でなく、ある程度事実を元に調査されている形跡が伺えることだ。
この恐ろしさは上記リンク先に飛んでもらう以外に説明が難しい。
そこらの歴史上の有名人物の家系図よりも詳細なデータが記載されていることに戦慄するだろう。
Googleの地図書き換え事件の背景
以下の記事が話題になったことがある。
一見すると今回の件に関係が見られず、ブコメでもなんJ民との絡みでないコメントをしているユーザーが多かったが、これもなんJ民が関与している。
記事には警視庁本部が「恒心教警視庁サティアン」に書き換えられたと記載されているが、唐沢弁護士の設立した弁護士事務所の名前が「恒心綜合法律事務所」であることに由来している。
他にも、唐沢弁護士に関連した名称の改ざんが多くみられた。
この事件にもなんJ民は関与していたのだ。
なんJ民とカラコロ民
今まで、なんJ民と呼称していたが、正確には「カラコロ民」と呼称すべきかもしれない。カラコロ民とは、「唐澤貴洋殺す」というフレーズを「神聖6文字」と呼称し、唐澤貴洋ネタで会話するユーザーたちのことを指す。
唐澤貴洋を殺すという意味を含んだスレタイがついたスレッドを「カラコロスレ」と呼び、カラコロスレは唐沢弁護士に関するレスで全てが埋まる。
そのレスの中には、殺害予告を含んだものも多い。
そういう異常事態が何年も続いているのだ。
上記の経緯からなんJ民が多いのは確かだが、全てのなんJ民がカラコロという文化を肯定しているわけではなく、当然ながら批判的なユーザーも多く存在する。
しかし、それによってカラコロ民が消滅することはなかった。
むしろ今、勢いは増していると言っても過言ではない。
第14回MMD杯を独占
ニコニコ動画にて、MikuMikuDance(MMD)という3D映像作成ツールを使用した動画で獲得したマイリスト数により競われる大会(MMD杯)が半年ごとに開かれている。
大会の開催中は、ニコニコ動画のランキングでMMD杯の動画を目にすることが多い。
そんな中、2015年1~3月に開催された第14回MMD杯において、唐沢弁護士をネタにしたMMD動画が、総合優勝、準優勝、健闘賞の3冠を獲得してしまった。
補足しておくと、普段のMMD杯がこういう不謹慎ネタで埋まるということはなく、どちらかと言うと、「東方」「艦これ」といった萌え系コンテンツが上位に来るような大会である。
多大にマイリスト工作などが行われた影響もあるだろうが、「カラコロ」がなんJ板にとどまらず、他の場所にまで影響を与えていることがよくわかる。
しかもこれが今年開かれた大会での出来事であることからも、勢いが落ちるどころか加速している現状が浮かび上がる。
まとめ
以上、ややトピックスめいた記事になってしまったが、よりこの件の闇の深さがわかったのではないだろうか。
この件については、他にも語ろうと思えばまだまだ語れるネタがあるだろうがキリが無いのでこれくらいにする。
逮捕者が出ているにも関わらず止まらない誹謗中傷と殺害予告。
この件がどのような形で終焉を迎えるかはわからないが、日本のネット文化史の1ページを刻むくらいには大事になっているように思える。
ネットの闇は深い。
以上。
追記:記事中のリンクを修正しました。
また、続きの記事を書きました。