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アニメーターの給与問題を、「夢追い人」だから問題ないとするロジックは絶対おかしい

アニメーターの給与が安すぎるということで、話題になっている。

「動画」担当の平均年収は111.3万円。月に10万も貰っていないことになり、どう考えてもまともに生活することはできない。

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この話題への反応を見ていると、

・「趣味」みたいなものだからしょうがないという意見

・「アーティスト」や「漫画家」と同じで、夢を追いかけている間に収入が少ないことは当たり前

というロジックでこの低収入を正当化する言説が目につく。

しかし、この言説は全くもって納得できない。

以下、反論。

 

「趣味」説への反論

まず、「趣味」みたいなものってのはまったくもってナンセンスだろう。

自分の好きなことを仕事にしたら収入が無くてもいいはずがない。

それが基本的に自由選択でなく、一定の時間に一定の処理を求められるのなら、それが趣味のはずがない。

そもそも、1日に費やす時間が平均11時間の趣味なんてニートしか実現不可能だ。

 

「売れないドリーマーは定収入で当然」説への反論

アーティストも漫画家も小説家も、売れなければ収入はタダ同然だろう。

これは非常に厳しい世界だが、その代わりとして基本的には拘束時間が存在しない。

彼らは会社に所属していないので、自由は保証されている。

だから、実際に彼らは低収入を補うためにバイトをすることもあるだろう。

アニメーターに時間の自由はあるだろうか?

平均労働時間が11時間の上に、一ヶ月の平均休日は4日が最も多い。

どう頑張ってもバイトで補える時間は殆ど無い。

仕事に自由も無く、バイトの時間も無いのに本収入が少なくてどう生活しろというのだ。

 

そもそも、根本的なところとして、「アーティスト」や「漫画家」、「小説家」志望の人たちの夢は明白だ。

アーティストとして、漫画家として、小説家として生活でき、評価されることであろう。また、成功者には莫大な富がもたらされる。

そして、上記の仕事はどこまで行ってもやることは基本的に同じで、ランクアップするとディレクターになったり、監督になったりして部下を指揮する立場になる一般的な会社的システムになっているわけではない。

 

アニメーターは、アニメ監督やアニメ会社の上層部の仕事がしたくてアニメーターになるのだろうか?

そういう人もいるだろうが、現実として少数派ではないか。

アニメに関わる仕事をしたいからアニメーターになるのであって、決してごく一部の人間しか栄光をつかめない、人気者の著名人になりたいわけではなかろう。

アニメーターの仕事はどう考えても上記の人気商売とは似ても似つかない。

それは、目指すものが一種の「スター」である華やかな職業と、やっていることは一会社の業務に過ぎず、本人が作品をコントロールできるわけでもない一般的な業務を行う職業との絶対的な差だ。

さらに言えば、スターになれば収入は天井知らずの上記職業に比べて、アニメ制作に関わるなかでトップに位置する「監督」ですら、平均年収648万と、他の職業と比べても夢がない。

 

個人的結論

やはり、アニメ業界の給与はあまりに酷すぎる。

いくら法律の穴を抜けて合法だとしても、実質的には違法状態のアニメ企業が大半なのではないか。

アニメ業界がこの水準の給与を払うことでしか運営できないなら、産業の構造が狂っているのだから、多少の倒産があったとしても改善しなければならないと思う。

場合によっては国の支援も必要だろう。

あくまで会社で拘束され、労働している真っ当な人間を、ヘタすれば借金を増やしつつ労働させて、体をボロボロにして使い捨て、路頭に迷わせる。

そんな業界があっていいとは思えない。

 

以上。