ライトノベルが馬鹿にされがちな本当の理由
ライトノベル論に参加してみる。
タイトルは若干釣り気味かも。
ライトノベルが馬鹿にされがちな三つの理由 - WINDBIRD
id:kazenotori さんは、ライトノベルが馬鹿にされがちな理由として、主に漫画と対比させて「漫画に比べた多様性の低さ」「ライトという名前のイメージ」「ラノベの規模感の不理解」の3つをあげている。
これはこれで妥当な点もあるが、あくまでラノベを知らない人視点から見た批判を挙げているように思える。
ライトノベルのジャンル特性による、ラノベ以外の小説(一般小説と呼称する)と比べたときの批判が記載されていない点が片手落ちだと思うので、書いていく。
ちなみに、筆者は漫画もラノベも一般小説もそこそこ読んでいる。
ラノベも面白いものが多くあることも知っている上で書く。
また、私が話すラノベの範囲として「そこそこ知られている作品」「男性向け作品」に絞って、作品傾向について話す。
理由1「ハーレムものが多すぎる」
現代の流行っているライトノベルは、大半がこれに準ずる。
男キャラは主人公、主人公の男友達(1~2名くらいが多い)、主人公の敵くらいがせいぜいで、後は女キャラばかり出てくるラノベの多いこと多いこと。
シリアス系の作品ではややマシになるが、それでも女キャラの方が多数であることが多いし、たいていはヒロインたちに比べると男の影は薄い。
それだけならまだいいが、大抵は登場するヒロインたちは主人公に好意を持っている。ヘタすると出てくる主要な女性全員が主人公に好意を持っていることもザラにある。
ラノベの面白いところとして、あまりにも上記の作品が多いために、明らかに主人公に好意を持っているかのように記述していたキャラクターが、実は主人公を殺すために好意をあるフリをして油断させていた、なんて意表をつくパターンもあったりする。
とはいえ、殆どは実際に好意を持っているだけのパターンだ。
一般小説でもハーレムを形成している作品が無いわけではないが、全体の中ではわずかに過ぎない。
しかし、ラノベでは全てのジャンル(ラブコメ、ギャグ、ミステリ、SF問わず)
でハーレム構造の作品が散見される。
理由2「ヒロインが媚びすぎ」
上記のハーレムものが多い問題とも絡んでいるが、ヒロインがあざとい作品は多い。
ツンデレがテンプレ化した影響もあり、「あんたのためにやったんじゃないんだからね!」といった表現も増えた。
また、主人公がほかのヒロインとちょっと仲良くしたら、あからさまに嫉妬する描写がなされることも多い。
これはギャルゲの影響もありそうだが、現実的でないかわいらしい口癖を持ったヒロインが出る作品も結構ある。
一般小説と読み比べた際に一番気になるのは、ヒロインたちの人気を高めようという努力の結果生まれたであろう、媚びすぎなヒロインたちである。
本音で言えば、ラノベのヒロインに慣れると、一般小説のヒロインの描写ではあまり満足できなくなる。
理由3「キャラクターが子供ばかり」
これについては、漫画(特に少年漫画)と比べたときには気づきにくい。
だが、一般小説と比較すれば一目瞭然。大人が主人公のラノベは非常に少ないし、あったとしても精神的には子供だったり、ぎりぎり大人である20代前半であることが殆どである。
また、主人公が子供でも大人が活躍する作品も多いという反論がありそうだが、ラノベにおいて登場する大人は、「子供から見た大人」という側面が強く、大人社会独特の悩みは殆ど描写されない(「なれる!SE」など、例外が無いではないが)。
「ライト」ノベルだから問題ないという反論もありそうだが、一般的にラノベとは「軽く読める」あるいは「内容が軽い」という定義で語られることが多く、案外この点が指摘されることは少ない。
このあたりは一般小説と比較して「子供向け」と言われてしまう必然性があるところだろう。
「ライトノベル」が本質的に大人社会を描けないのであれば、ライトノベルが「大人たち」から下に見られ続ける構造はそう覆せないと思う。
なぜなら、よく昔は見下されていた例として上がる「文学」「エンタメ小説」「漫画」全てにおいて、最終的に社会的評価を勝ち取ったのは「大人たち」から見て評価できる作品を数多く生み出したからだ。
ライトノベルにそれができるかどうかが、ラノベの社会的評価を決めるであろう。
以上、3つの理由を挙げてみた。私が一般小説とラノベの両方を読んで感じた違いである。
異論、反論は大いにあると思うので、もし反論があるなら具体的な作品など教えてもらえば助かる(そういうラノベを読んでみたいので)。
最後に、ラノベに関しては批判する側が狭量、無理解であるという擁護が散見されるが、私はラノベは批判されて当然、だが面白い作品はいっぱいある、というスタンスだ。
上記点から言ってもラノベは「大人たち」からすれば物足りないものだろうが、私はこのラノベのような世界が好きだ。馬鹿にされようが好きだ。
それでいいのではないだろうか。