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「誰がテレビをつまらなくしたのか」「メディア社会 現代を読み解く視点」「戦争報道」 書評

「誰がテレビをつまらなくしたのか」「メディア社会 現代を読み解く視点」「戦争報道」 読了後の感想。

立本幸治「誰がテレビをつまらなくしたのか」は、テレビ批判と提言の書。著者は元NHKチーフプロデューサー。書名からするとテレビの面白さへの批評にも思えるが、実際はありふれたテレビ批判と、理想的なテレビへの提言集である、正直、目新しい内容は殆ど無かった。総論ばかりで具体的な各論が乏しかったのがつまらなかった原因か。

佐藤卓己「メディア社会 現代を読み解く視点」は、学術的なメディア論の本。著者はメディア論の優秀な学者らしい。アカデミックにメディア論が展開されると、なかなか新鮮で面白いものだ。ただ、著者は歴史に絡めて分析するのが得意なようで、その価値は認めるがやや読みづらいところも。まあ、全体的には読みやすいし、メディア論の学者(ブルデューマクルーハンなど)の引用も面白い。新聞のコラムをまとめたものなので、やや散漫だが、楽しめた。

武田徹「戦争報道」は、ジャーナリズムが戦争をどのように報道してきたかを歴史を踏まえて綴った本。この著者の本は、読んでいて好感を持てる筆致である。内容で印象的だったのは、PR会社が戦争への正当化に一役買っているという事実であった。そして、そのPR会社の戦略に踊らされるジャーナリストの悲しさも。インパクトのあるネタは記事にせずにはいられないジャーナリスト心理が現れている。開高健のベトナム体験を綴った著書に対する批判についての話も興味深かった。