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「自我の哲学史」「愛国者は信用できるか」「超解読 ヘーゲル精神現象学」 書評

「自我の哲学史」「愛国者は信用できるか」「超解読 ヘーゲル精神現象学」についての読了後の感想。

酒井 潔「自我の哲学史」は、自我という概念は西洋で生まれたものであり、日本にこの自我概念は適用できないという主張をしていたことは覚えているが、それ以上のことは記憶にない。様々な西洋哲学者と日本の思想家の自我についての考えを比較してそのような結論を出していた。確かに、昔から自我という概念についてイマイチぴんと来ないところがあったので、なんとなく腑に落ちた記憶がある。

鈴木 邦男「愛国者は信用できるか」は、著者は右翼団体一水会」出身の新右翼ということになるが、行き過ぎた愛国主義=右翼排外主義を批判した書である。この著者は右翼と言っても排外主義的な右翼とは一線を画していて、そのような右翼を批判できるまっとうな右派ということができるだろう。このようなバランス感覚ある右翼が増えてくれることを願いたい。「愛国を叫ぶことは、他者への批判、攻撃につながっている」という著者の主張は、愛国心ある人間ほど心に留めるべきだろう。

竹田 青嗣 、西 研「超解読 ヘーゲル精神現象学」は、一般に難解とされるヘーゲルの『精神現象学』を、できるだけわかりやすく噛み砕いて解説した書である。

確かに随分分かりやすくなっているのだろうが、それでもまだよくわからない部分があった。もっとゆっくり読まないと駄目だったのかもしれない。

理性を信じ、歴史の進化を信じるヘーゲルの議論は、現代のポストモダン社会では批判に耐え切れるかが怪しいが、清々しい気分になることも事実である。