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読書記録など。

「身もフタもない日本文学史」「数字のウソを見破る」「ドゥルーズ入門」 書評

「身もフタもない日本文学史」「数字のウソを見破る」「ドゥルーズ入門」読了後の感想。

清水義範「身もフタもない日本文学史」は、清水氏のおもしろ日本文学話。

清水氏の著作は実は小説の方は読んだことがないが、それ以外の著作はいくつか読んでいて、概ねどれも面白い。この本も、「身もフタもない」などと批判的な内容紹介をするかという印象を与えるが、実際はユーモアにあふれた歴史上の文学紹介である。ただし、後半はいただけない。プロレタリア文学は政治的だから文学じゃない、との弁はユーモアというより悪意しか感じられないし、面白くない。というか、近代文学のあたりはページが無いせいか、全体的におざなり。近代文学史の本として書いていれば、もっと違った印象を受けたかもしれない。

中原英臣(なかはらひでおみ)・佐川峻(さがわたかし)「数字のウソを見破る」は、医学博士と科学評論家の共著による、身近な数字のトリックを紹介した本。

医療についての話は知らないことが多く、ためになった。メタボもコレステロール値も、日本の基準は国際的に見て厳しすぎて、定義上の患者が多くなっているとのこと。病気かどうかは、権力が決めるというフーコーのことを思い出すが、確かに「病気」という圧力は恐ろしいものがある。逆に、天気予報や視聴率の話などは、知っている話か、解釈がおかしいような内容があり、微妙なところ。こういうリテラシー的な本は読めば読むほど知らないことが減っていくが、医療関係など、やや専門的な話には、知らないことも結構あるようだ。

檜垣立哉ドゥルーズ入門」は、ちくま新書名義でしかも入門と銘打っているが、実際は初心者お断りのドゥルーズ論の書。

新書の入門のレベルを踏み越えすぎだろう。予備知識の全く無い人間には理解不能。私自身、哲学の入門書や著名哲学者の入門書くらいはある程度読んだことがある程度の知識だが、殆ど意味がわからなかった。よって、実際は読了せず、挫折した。哲学的知識が豊富で、ベルクソンなどもある程度はわかっている人向けであり、明らかに新書で入門の名をつけてやる内容ではない。ドゥルーズのことを知らない人が理解できる内容か、疑問である。ネット上の評判も、ドゥルーズの知識がある人には好評のようだが、入門を期待した大半の読者にとってはいい評価はつけられていない。