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理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 書評

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性、高橋 昌一郎著、読了後の感想。

タイトルの印象では理性主義批判、科学主義批判的な内容かと思ったが、主に学問研究により解明された、合理的な結論が
不可能な議論等の紹介が主な内容。例として、平等な投票が不可能であること、常に最適な解が合理的な解ではないこと(ゲーム理論)など。一部にお決まりの科学哲学による相対主義論があるが、全体的には「理性の限界」というよりは、「理性(学問)によって解明された合理的行動・思考の限界」といった、むしろ理性的に見て面白い議論が多かった。
「アロウの不可能性定理」は、この本で初めて知った。また、「ゲーデル不完全性定理」も、「自然数論」において全ての系の命題が必ずしも真偽が明らかになるわけではない、という内容とわかり、数学全般の否定では全くないことがわかった。興味深い多くの理論を簡単に把握出来るのも魅力か。割りと売れた本らしい。